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Запретная Зона

ねたのやり取り用

Nikkor UD Auto 20mm F3.5

超広角ズームでさえ、高級モデルではF2.8固定のものが当たり前となっている現在、スペック的にはどうということのないレンズであろう。むしろ、見劣りするような存在でしかないのだが、描写性能に関しては極めて高い評価を誇っており、特に「ゆがみが少ない」点についてはレンジファインダ機用の対照型レンズにすら匹敵すると評されている。
実際、ニッコール千夜一夜物語の第二十夜で絶賛されているNewNikkor20mmF4を上回るシャープさで、開放から緻密な描写を誇る。暗いレンズの割りにピン山もつかみやすく、そもそも屋外撮影ではほとんどヘリコイドを回さずに済むため、まったく気楽に撮影できるのもよい。また、最短撮影距離も0.3mと短いため、レンジファインダ機に対して、接写能力で圧倒的な優位を誇っているのも特長だ。

欠点はとにかく重くかさばることで、最近の高級超広角ズームに匹敵する。そのうえ、デジタルとの相性がよろしくないという説もあり(オートニッコールは軒並み悪いという話もあるが)、やはり銀塩ニコンでしか使えないレンズなのだろう。
ちなみに、カラーには向かないとの意見もあるが、個人的にはポジで非常に良好な結果を得ており、レンズの個体差によるものではないかと考えている。コントラストが高すぎるため、見かけ上の周辺光量低下が激しい点を嫌っているかもしれないが、その場合は例え当時の新品で撮影したとしても、同様に不満足な結果しかえられなかったのは間違いない。
超広角レンズは、構成枚数が多い上に個々のエレメントも複雑な形状をしていることが多いため、整備状況によっては急速に画質が悪化することもある。そのためか、超広角の中古は玄人向けとする人さえいるのだが、その辺は痛い思いをして覚えるしかないだろう。

いずれにせよ、その大きさと重さを許容できるのであれば、現在でも十分に通用する能力を持ったレンズであり、描写力のみで比較するのであれば現行品のAiAF Nikkor20mmF2.8Dすら超えている。だが、問題はその大きさと重さであり、その点を考慮するとやはり好事家向けのマニア機材といわざるを得ないだろう。

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  1. 2007/09/25(火) 19:48:54|
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NIKKOR-H Auto 2.8cm F3.5

手ごろな広角レンズとしてよく知られており、とりわけニッコール千夜一夜物語の第十二夜で取り上げられてからは、隠れた名玉として人気を集めるようにもなった。ただ、それ以前はどちらかといえば廉価版的な扱いを受けており、特にNewNikkor28mmF2.8が発売された1970年代半ば以降は、安いだけがとりえであるかのように受け止められることさえ少なくは無かったという。
というのも、このレンズについては発売当初から0.6mという最短撮影距離に対する不満があり、レンジファインダカメラとの差別化を図る観点からも、近接撮影性能を向上させることが求められていた。また、同社が同時期に生産していた35mと20mの最短撮影距離は0.3mであり、光学設計の基本が異なるとはいっても、不満を持つユーザは少なくなかったとされる。さらに、日本のカメラメーカ各社が広角レンズのラインナップを整えた1960年代後半から70年代にかけては、スペック的にもいささか見劣りするようになっていたのである。

ただ1971年4月に登場したNikkor-N Auto28mmF2Cでは、最短撮影距離が0.3mに短縮されており、近接撮影の可能な28mmレンズを求める声に答えている。とはいえ、こちらは大口径の高級レンズであり、価格もF3.5の24,000円(発売当時)に対して55,000円(発売当時)に設定されるなど、あくまでも上位機種という位置づけだった。
結局、手ごろな価格で「寄れる28mm」が登場するのは、最初の28mmとなった本レンズが登場してから、実に14年半が経過した1974年11月のことで、それが先に述べたNewNikkor28mmF2.8であった。ちなみに、テーマとなっている2.8cm(28mm)F3.5については、そのNewNikkorから遅れることさらに約半年の、1975年3月に登場したNewNikkor28mmF3.5において、ようやく最短撮影距離が0.3mに短縮されたのである。

その後も、ニコンはF2とF2.8、F3.5という3種類の28mmレンズを併売し続け、1981年にはAiNikkor28mmF3.5Sを発売するなど、オートフォーカス時代が本格的に到来する1980年代の後半に至るまで、約30年にわたって28mmF3.5の系譜を保ち続けた。

NIKKOR-H Auto 2.8cmF3.5の描写傾向や詳細なスペックに関しては、先述のニッコール千夜一夜物語を参照して欲しいところだが(こちらには作例写真もあるし)、とにかく小さくて軽く、そしてなによりよく写るレンズなのは間違いない。自分が所有しているのは最も玉数が多いとされる、鏡胴先端まで黒染めで5枚絞りのいわゆる後期型(Ai改造品)だが、なにしろ本当によく写るのでびっくりしてしまう。
最短撮影距離に関しても、いろいろ言われるほど問題に感じたことはないというか、そもそも自分はワイドマクロ撮影をほとんどしないので関係ないのだ(ワイドマクロ撮影の場合は20mm以上の超広角を使う)。
ただし、不満が無いわけでもない。
最も大きな不満点は「ピン山がつかみにくい」ところで、暗めの広角レンズだから仕方ないとの声もあるが、後継となったNewNikkor28mmF3.5やAiNikkor28mmF3.5においてはかなり改善されており、やはりこのレンズの特性であるように思える。なにしろ、ピントをきっちりあわるなら、フォーカスエイドを使わざるを得ないぐらいで、勢い被写界深度に頼ることとなる。
逆に言うとそれだけ被写界頻度が深く、ピンを外しにくいレンズとなるのだが、やはりこれは欠点にひとつだと思う。また、被写界深度の深さや最短撮影距離の遠さに関わることなのだが、ヘリコイドの移動量が非常に大きく、無限から最近接では鏡胴を半周以上回すことになる。特に近接撮影ではかなり回さなければならないため、ピン山のつかみにくさとあいまって、とっさのピン合わせにはかなりの慣れが必要だろう。
自分はAiNikkor28mmF3.5Sも使っているが、使い勝手という点ではこちらの方が完全に勝っている。ただ、肝心の描写はおっつかっつか、感覚的にはオートニッコールの方が微妙によいような感じで、特にパンフォーカスを活かしたストリートフォトとなると、やはりオートニッコールが勝っているように思えてしまうのだ。 [NIKKOR-H Auto 2.8cm F3.5]の続きを読む

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  1. 2007/09/18(火) 19:21:21|
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Gundlach Turner-Reich Anastigmatic Series II 12in f6.8

アメリカのガンドラック社(Gundlach)が製造した、ターナー・ライヒ(Turner-Reichなので、英語読はターナー・ライク)Anastigmatic Series II 12in f6.8を使ってみた。

このレンズは2群10枚という、ちょっと信じがたいような構成をしていて、写真用レンズの歴史にも「市販品としては最多の貼り合わせ枚数を誇る」とか書かれていたりもする(市販された5枚張り合わせレンズは、もう1種類ある)、いわば珍品レンズのひとつだ。

貼り合わせ枚数が多いと製造時の光軸調整が大変でコストもかさむため、多くても3~4枚が実用上の限度とされるのだが、このレンズはツァイスの特許を回避するためにやむを得ず5枚貼り合わせとしたらしい。

このレンズが製造されたのは19世紀末から20世紀初頭にかけてで、当時のアメリカではそれなりによく売れたレンズだったらしい。ただ、5枚貼り合わせの光軸合わせは極めて困難だったようで、実際に5枚全ての光軸があっている品はほとんどないとも言われている。

肝心の描写はぶっちゃけ普通で、絞りを開けると古典レンズなりの愉快なボケ味も楽しめるが、基本的にはシャープネス重視の傾向を示す。アメリカでは多くの風景写真家がこのレンズを使っていたそうだが、現代においてもちょっと軟らかい中にも芯のはっきりした描写を好む人は少なくないだろう。
また、この12インチ(305ミリ)は8X10の標準レンズでもあり、イメージサークルは巨大で、特に4X5なら煽り放題だ。このレンズのミソはトリプルアナスチグマットとなっていて、前群もしくは後群単体でも使える点にある。

まず、前・後群を組み合わせると12インチ(305ミリ)となり、後群単体では21インチ(533ミリ)で、前群単体なら実に28インチ(711ミリ)となるし、イメージサークルも広がるのだ。とはいえ、フランジバックもそれにしたがって長くなるため、たとえ8X10でもよほど蛇腹が長くない限り、全ての焦点距離を使いこなすことは難しいだろうが、5枚貼り合わせという点も含め、いろいろ楽しいレンズなのは間違いない。

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  1. 2007/06/18(月) 18:07:00|
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MCヘリオス-44K-4 2/58 Kマウント用

魔がさしたとしか言いようもないのだが、よせば良いのに旧ソ連製レンズ「MCヘリオス44-2 2/58 Kマウント用(ГЕЛИОС-44-2 2/58 for K Mount)」なんかを買ってしまった。
ちなみにKマウントというのがちょっとミソで、文字通り玉数の多いM42マウントだったら、いいとこ数千円かそこいらしかしないのだが、こっちは倍近い値段だった。まぁ、そうは言っても1万円で思いっきりおつりがくるのだから、安いことに変わりは無い。なぜこれだけの差が生じるかというと、M42マウントだと基本的にアダプタを介しなければボディに装着できず、時にはボディとの不適応が発生するうえ、自動絞りは全く動作しない。まぁ、その代わりに「実絞りAE」が利いたりもするのだが、最近はマウントアダプタがやたらに値上がりした上、入手自体もなかなか難しくなっているから、その辺の事情が価格差に反映しているのだろう。

焦点距離は58ミリだから、デジタルだと35ミリ換算の87ミリになる(ほらほら鳥山さん、ちょっと欲しくなってきたでしょう)。

もちろんAFやAEは利かないが、さっき言ったように自動絞りが動作するので、マニュアルモードなら全く違和感無く操作できる。特に室内のストロボ撮影となると、AEはクソの役にも立たないし、AFに至ってはそもそも使うことが無い機能なので、自動絞りの方がはるかにありがたいといえよう。

さて肝心の描写だが、絞って使う分には至って普通だったりする。

かといって開放だとちょっとアラが目立ってくるのだが、このレンズは1つか2つ絞ったアタリがもっとも面白く、好みにもよるが大絶賛する人すら以外に多い。
個人的には微妙にしまりの無いところや、落ち着いた発色傾向を示すところに面白みを感じているのだが、もしかしたらこの辺の「シャープネス優先の現代レンズでは否定的評価の対象となる癖」が、レンズオタクの心をつかんでいるのかもしれない。

多分、女性ポートレートにはうってつけのレンズだと思うのだが、さて本当のところはどうなのかしらねぇ~

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  1. 2007/06/15(金) 19:35:09|
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Tessar IIb F:6.3

自分は165ミリ1本に210ミリが2本と、都合3本のTessar IIb F:6.3を持っている。最初に買ったのは21センチ(210ミリ)の方で、大判レンズの冥府魔道へ引き込むきっかけとなった、いわばいわくつきの1本でもある。
ただ、買ったときの動機はかなぁり不純で、まずリンホフIII型用のボードが付いているから入札したわけだし(ご丁寧にも、距離計の連動カムまで付いていた)、いったんは予算を超える金額で競り負けたものの、相手が韓国人だったのでちょっと無理して競り落としたといういきさつがある。
まぁ、予算オーバーといっても送料、保険料コミで3万かそこいらだったんだけど、当時はどちらかといえば広角よりを好んで使っていたから、つまんない意地を張らなきゃよかったと後悔もした。なら、なんで欲しくなったのかというと、これまたマニア評に踊らされたわけ…
このTessar IIbは、マニアが「Bテッサー」と呼んでありがたがっていて、ショップでも10万前後のプライスがつけられているほど評価が高く、前から激しく興味を持っていたのですよ。

でまぁ、ワクテカしながら待つこと半月、ようやくレンズが到着したので早速チェックしたら…

最後面にでっかい傷があるのな!

もぅ、発見したときはめまいで倒れそうになったが、気を取り直して返品しようと情報をチェックしていたら、説明の最後に「傷あり」としっかり書いてある。正直、このときほどワレとわが身をのろった事は十数回しかなく、渡辺謙ならずとも「この政宗、一生の不覚っ!」 と叫びたくなったし、こんなことなら競り合ってた韓国人に高値でつかませればよかったとも思った。
だが、ともかく試写ぐらいはしてから考えようと、期限切迫品のポジで10カットほど撮影したところ、ラボから戻ったポジを観て腰を抜かしたよ。

須原椎造(ブラボーおじさん)ならずとも「ブラボー、ブラバー、ブラベスト」と叫びたくなったね。

いやぁ、無理して競り勝っといて、本当によかった。
さておき、こうなると他の焦点距離や「予備のレンズ」まで欲しくなるという、ワレながら本当に悪い癖があって、1年も経たないうちに165ミリと210ミリを買ってしまった。
もちろん、どれもすばらしい描写といいたいところだが、実は意外とそうでもなかったりするのが面白いというか恐ろしいというか、まさにこれぞレンズの冥府魔道といったところだろうか。
というのも、確かに165ミリのほうはかなり優れた描写で、シャッタが安定して露出のばらつきが無くなればモットよくなる感じなのだが、問題は210ミリのほうだ。

ぶっちゃけ、普通にちょっとよいだけの描写なんだね。

ただ、モノクロだと3本ともすばらしい描写で、むしろ傷物21センチの方が微妙に劣るかなといったところなのだけど、なんでこうもはっきり差が出るのか、不思議といえば不思議な気もしなくはない。

ちなみに、製造番号から傷物21センチは1937年製と、また165ミリは1912年以前(07~08?)の製造と推定され、もちろんどちらもノーコート。残る210ミリは1942年以降の製造らしいが、なんと表面にブルーのコーティングが施されている。ツァイスでは戦後に大戦中の仕掛品を組み上げて出荷したり、戦中に使用されなかった番号帯を割り振ったりしたらしいので、1940年代の製造番号はあまり当てにならないとはいえ、いずれにしても最初期のコーティングということになる。
本来、コーティングは描写性能を向上させるものなのだが、両者の違いといえばコレぐらいしかなく、なんとも不思議としかいいようが無いぬぅ。

まぁ、ノーコートでも本当によく写るから、それはそれでいいんだけどね。

テーマ:銀塩写真 - ジャンル:写真

  1. 2007/05/28(月) 18:33:25|
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