fc2ブログ

Запретная Зона

ねたのやり取り用

イクオリティ・ナウの声明で引用されている国連及び日本政府の文書を検討してみる。 その四

イクオリティ・ナウの声明における国連のCEDAW委員会及び日本政府の文書の引用の検討を始める。

その二で紹介した部分のうち一番目のパラグラフを再掲する。

Japan ratified the Convention on the Elimination of All Forms of Discrimination against Women (CEDAW) in 1985 and was last examined on its report in 2003 by the CEDAW Committee, which reviews government compliance with CEDAW. While in its report the Japanese government recognized that “violence from husbands or partners, sexual crimes, prostitution, sexual harassment and stalking behaviour are grave violations of women’s human rights” the CEDAW Committee expressed concern that Japanese law characterized stalking as “acts to ‘satisfy love or other favourable feelings towards the person,’ or to ‘work off grudges resulting from the failure to satisfy these feelings.’” Such characterizations are rampant in hentai, which include a successful Japanese comic book series called Rape Man, portraying a male teacher who transforms into “superhero” Rape Man by night, raping women in order to settle grudges or “teach them a lesson” for jilting their lovers.

日本は1985年に「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」(CEDAW)を批准し、最近では2003年にその報告書がCEDAW委員会によって審査されている。委員会はCEDAWに対する日本の遵守の度合いを評価するものである。この報告において日本政府が「夫あるいはパートナーからの暴力、性犯罪、売買春、セクシュアル・ハラスメント、またストーキング行為は、女性の人権に対する深刻な侵害である」との認識を示しているのに対して、 CEDAW委員会は日本の法律がストーキングを「その人物に対する愛情あるいはその他の好意的感情を満たすための」あるいは「それらの感情が満たされないがゆえの怨恨による」行為として特徴づけていることについて懸念を表明している。このような特徴付けはhentaiにおいて蔓延しており、例えば日本の売れ筋の(succesful)漫画「THE レイプマン」は、夜ごと「スーパーヒーロー・レイプマン」に変身する男性教師を描いている。彼は怨恨を鎮めるため、あるいは恋人を無下にした女性たちに「お灸をすえる」ためにレイプを行う。

ここでCEDAW委員会の見解として引用されているのは、その一2番目に挙げられている文書のパラグラフ26である。この文書は、7月8日に行われたCEDAW委員会と日本政府代表団の会合の議事概要である。

以下にその原文とその邦訳を挙げる。

26.Ms. Morvai commended Japan’s report for having acknowledged, on page 24, that “violence from husbands or partners, sexual crimes, prostitution, sexual harassment and stalking behaviour are grave violations of women’s human rights ...”. She urged the Government of Japan to recognize that, globally and historically, women had been treated as less than human beings, as was the case with Japan’s comfort women. She challenged the report’s characterization of stalking, on page 25, as “acts to ‘satisfy love or other favourable feelings towards the person’, or to ‘work off grudges resulting from the failure to satisfy these feelings’,” and said that stalking was a matter of power and control. The police should not act as victims counsellors, which was incompatible with their role. Lastly, she would appreciate further information on when and how prosecutors initiated proceedings for violent crimes.

26.Morvai氏は、日本政府の報告書を、それが二十四頁で「夫・パートナーからの暴力、性犯罪、売買春、セクシュアル・ハラスメント、ストーカー行為等女性に対する暴力は、女性の人権を著しく侵害するものであること」を認めた点について、賞賛した。彼女は、日本の従軍慰安婦のように、世界的及び歴史的に女性が人間よりも劣るものとして扱われてきたということを認識するよう日本政府に促した。彼女は報告書が二十五頁おいてストーキングを「『特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する』ための行為」として性格づけに疑問を呈し、ストーキングは権力と支配の問題であると述べた。警察官は被害者の相談者として振舞うべきではなく、これは彼らの役割と相容れない。最後に、彼女は検察がいつどのようにして暴力犯罪に対する手続きを開始するかに関するより一層の情報に感謝するであろう(訳者註:より多くの情報を求めたということか?)。


この引用の問題点は以下の通りである。

・委員会の見解としては『女子差別撤廃条約第4回及び第5回報告書に対する委員会最終コメント』があるにもかかわらず、Morvai委員の個人的見解をあたかも委員会の総意であるかのように記述している。

・Morvai委員の見解は、ストーキングが、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足するための行為ではなく、権力と支配の問題である、というものである。然るに、声明の引用では、この前段部分のみを抜き出し、しかもMorvai委員が待ったく言及していないHENTAIの話をリンクさせ、CEDAW委員会の見解とHENTAIに関係があるような印象操作を行っている。

余談であるが、ストーキングは「権力と支配の問題」ではなく単にそれを実行する者の調子がおかしいだけあるし、女性によるストーキングも発生している。国連の委員といっても、その主張が全て正しい訳ではないことは胆に命じておいた方が良いであろう。

これも余談であるが、今回検討したイクオリティナウの声明のパラグラフをAPP研は次のように訳している。

日本政府は、女性差別撤廃条約を1985年に批准し、政府の条約遵守を審査する最新の定期報告書を2003年に女性差別撤廃委員会へ提出しました。日本政府は報告書で、「夫またはパートナーの暴力、性犯罪、売買春、セクシュアル・ハラスメント、ストーカー行為は、女性の人権の深刻な侵害である」ことを認めました。しかしその一方で女性差別撤廃委員会は、日本のストーカー行為規制法がストーカーを「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情……を充足する目的」の行為、あるいは「それが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」の行為と性格づけていることに懸念を表明しました。そのような性格づけは「ヘンタイ」に広くみられるものだからです。その一例が日本でヒットした『レイプマン』というコミック本であり、それは夜な夜なレイプマンという “スーパーヒーロー”に変身する男性教師が主人公で、女性にふられた男性の恨みを晴らしたり、男性をふった女性を“懲らしめ”たりするためにレイプマンが女性をレイプしてまわるというストーリーです。

http://www.app-jp.org/modules/about/index.php?content_id=6

問題は「そのような性格づけは「ヘンタイ」に広くみられるものだからです。」という部分であり、文法に則って誠実に訳していればこのような訳にはならないし、Morvai委員はHENTAIに言及していないのだから、事実を捻じ曲げる結果となっている。

嘘はいかんよ!嘘は!


スポンサーサイト



  1. 2009/06/28(日) 08:14:07|
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<イクオリティ・ナウの声明で引用されている国連及び日本政府の文書を検討してみる。 その五 | ホーム | APP研のdiscaがしらを切り始めた件>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://news410.blog104.fc2.com/tb.php/71-d3d5149d
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

Зона

Author:Зона
FC2ブログへようこそ!

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する